ペルソナ感想まとめ

ゲーム、書籍類の感想や思い出話です。発売順。以下は公式発行物のみです。発行物一覧はこちら

女神異聞録ペルソナ(ゲーム)
女神異聞録~ペルソナ~手とり足とり公式ガイド(書籍)
女神異聞録ペルソナのすべて (書籍)
女神異聞録ペルソナ 公式ガイドブック(書籍) <追記>
ペルソナ倶楽部(書籍) <追記>
女神異聞録ペルソナ 〜シャドウメイズ〜(書籍)
女神異聞録ペルソナ 神取の野望(書籍)
女神異聞録ペルソナ (漫画版)(書籍)
女神転生十年史 <追記>
女神異聞録ペルソナデジタルコレクション(CD-ROM&書籍)
ペルソナ2 罪(ゲーム)
ペルソナ倶楽部ll(書籍)
ペルソナ2 罰(ゲーム)
金子一馬グラフィックス―女神転生黙示録
ペルソナ倶楽部lll(書籍)
ペルソナワールドガイダンス(書籍)
ペルソナ・アナザービジョン 明日出会う自分へ(書籍)
真・女神転生 正典
Persona スノークイーン(書籍)
ペルソナ倶楽部P3(書籍)
ペルソナ3 フェス(ゲーム)
ペルソナ4(ゲーム)
電撃PlayStation 2019年1月号 増刊 電撃PlayStation Classic
ペルソナ5(ゲーム)
電撃PlayStation 2019年1月号 増刊 電撃PlayStation Classic(ムック本) <新>

更新:2019年3月9日 

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女神異聞録ペルソナ
プレイステーション用ゲームソフト [アトラス、1996年9月20日発売、RPG]

女神異聞録ペルソナ  異聞録との出会いはまだ10代のころ、友達に「これ面白いよ」と貸してもらったことでした。キャラクターたちと年齢的に近く、陰鬱でいてかつて無かったスタイリッシュさにすぐさまハートを鷲掴みにされました。P5まで出ている今の感覚で見ると、異聞録は女神転生シリーズの泥臭さがあるのですが、当時は今P5を見るような感覚と全く同じで、ペルソナシリーズは常にオシャレの先端を行っていました。
 今さら感想を書くのも難しいのですが、確実に思い出補正がかかる作品です。ゲーム世代には誰しも青春のゲームがあると思いますが、私はそれを聞かれたら異聞録を挙げると思います。
 当時は内容的な深さはまるで理解していなかったと思います。ただ、面白いからやるというだけで。初プレイから長い年月を過ごすうちに、時々異聞録のことを思い出しては(と言いますか時々再プレイしていたので)改めて気づくことが多いゲームでした。年齢的に近いためか、年月を経るごとにキャラクターたちも一緒に歳をとっていくような、妙なリアルタイム感がありました。同級生みたいな。おそらくこのシリーズの作品はどれも、多くのプレイヤーにとってそういうゲームだろうと思います。現代ジュブナイル作品の特徴というか、強みでしょう(ということを、現代ジュブナイルものなら必ず実現できるわけではないことは付け加えておきます。やはり、ペルソナというシリーズがゲームとして優れているからこそです)。
 ところで、私は10代の頃すでにオタクで絵も描いていたのですが、不思議なことに異聞録の絵は一切描いていませんでした。今思い出しても謎ですが、たぶん金子絵を自分絵に落とし込むことが難しいと察知していたのではないか、と……。というのも、2016年になって描き始めたところ、メチャクチャ難しかったからです。こんなに時間が経って、そこそこ絵のスキルも上がってるはずなのにこれかよーーって感じです。

[追記:2017.12] ちょいちょい思い出したりするので追記〜。
 上の方に「当時は今P5を見るような感覚と全く同じ」と書いていますが、このシャレオツ感、当時女神転生ユーザーからは「ライト向け」「ぬるい」「チャラチャラしてる」という軟派で女子供向け、流行りもの、みたいな捉え方でしたよね。今でこそ異聞録は「難易度高い」「硬派」「泥臭い」みたいなイメージですけど、当時は全く真逆だったように記憶してます。不思議だなあ。たぶん2以降も毎回同じこと言われてると思うし、メガテンなら前作であるif...も同じようなこと言われてたんだろうなあ。歴史は繰り返す。
 P5が発売した時に改めて知ったんですが、異聞録って売り上げが凄かったんですね。累計販売本数(リメイクや派生作などは含まず、最初のやつのみの数)、異聞録は39万本、罪は27万本、罰は20万本、P3は21万本、P4(PS3・PS4の合計)は42万本。なんとP4がヒットするまで異聞録を超えることができていなかったんですねえ。異聞録が当時どれだけのヒットだったかがうかがわれます。そしてP5はなんと200万本突破? すごい!

 ものすごく個人的な思い入れの話なので書くかどうか迷うのですが、せっかくなので書いておこう。上の方にキャラたちと一緒に年をとっていくような……という思い入れの話が書かれていますが、これにはやや理由があります。異聞録のキャラたちって、もともとが群れない性質ですよね。個々が独立していて、それぞれが勝手に行動しています。キャラ間での依存をほぼ感じさせません(それが物語を通して分かり合ったり、依存ではなく支え合ったりするようになるのがこの物語の面白さ)。私の印象では雪の女王編でそれが顕著で、中ボスたちの言い分を喝破するだけの自己が確立しています。そしてその論理が時にカオティックでもあるのが魅力で、要は従順な良い子ちゃんを拒否するクソガキです。その印象が、私が中学のときの先生に言われたことにシンクロするので、彼らに対して妙に共感を覚えてしまうのです。定年退職されたその先生と親しくしている友達に誘われ、一度会いに行ったことがあるのですが、その先生いわく、私たちの学年は印象に残っていたそうで、それが「個々が独立していて、群れない、個人主義」なんだそうです。確かに、ある時、車に傷をつけるいたずら(犯罪ですけどね)が発生した時、みんな冷笑していたのを記憶しています。そんなのガキのやることだろ、不良の真似してかっこいいと思ってるんだ恥ずかしい奴、って空気。今思うと、そういうシニカルさに満ちた人ばかりでした。そのせいか学年ではいじめらしいことは起きなかったし、先述のようないたずらが起きても長続きせず、不良と呼べる子はほぼ存在しなくて(たった一人だけいたんだけどね。今思うと玲司みたいなポジションか(?))、先生に反抗するような話も聞くことはなかった。かと言って、大人にとって都合のいい「良い子ちゃん」でもなかった。当時他の中学の友達に学校の様子を聞くと、まあ先生に楯突いて問題を起こす話ばかり。学校の壁にらくがきしたり窓割ったり、集団いじめだったり。でもそれが一般的(?)中学生という子供のあり方だったように思う。反抗期ですから。ちなみに先生の話だと、私たちの一個下の学年は完全に群れるタイプだったそうで、群れならではの問題を起こしていたそう(そのせいでギャップがさらにそう感じさせたのかもしれない)。と、いったわけで……なんだか私の中学のときのあの学年の、小憎たらしい個人主義の空気が、異聞録のみんなにやけにダブるのです。上の方に、ペルソナシリーズはその時々のプレイヤーにとって同級生のような……と書いていますが、私も強烈にその印象があり、私は彼らと同級生だったような気がするのです。
 P4の感想のところでも触れていますが、おそらくシリーズ各作品の時代時代のハイティーンのリサーチが正確なんだと思います。異聞録世代の人で、私と同じことを感じている人はたくさんいるんじゃないのかな。各作品の世代ごとに共感があるけど、内容は異なっていると思う。普遍的な部分もあると思うけど、それぞれに「その世代にしかないもの」があるのだと思います。実際、時は常に移り変わって、ハイティーンのあり方もその時々で違うのですから。うーむ、ペルソナシリーズおそるべし。



女神異聞録ペルソナ 手とり足とり公式ガイド
書籍 [アスペクト刊、1996年10月4日発行、B6判、162ページ、カラー96P/モノクロ34P]

女神異聞録ペルソナ 手とり足とり公式ガイド  公式によるPS版の攻略本。一番早く出版された攻略本。
 内容は最初期のものなので、セベク編のダンジョンマップはおおよそ最後まで載っていますが、終盤はどこに何があるのかまでは書いていません(宝箱や階段、トラップの位置など)。また、隠しキャラであるレイジの情報、雪の女王編の情報は無し。
 巻頭に漫画でこれまでの女神転生シリーズとのシステムの違いが解説されているのが特徴。イラスト(編集しているファミ通側のイラストレーターさんによるもの)が多いので当時の雰囲気が味わえます。



女神異聞録ペルソナのすべて
書籍 [アスペクト刊、1996年10月25日発行、A5判、130ページ、オールカラー]

女神異聞録ペルソナのすべて  公式によるPS版の攻略本。二番目に出版された攻略本。
 内容はおおよそ『女神異聞録ペルソナ 手とり足とり公式ガイド』と同じですが、こちらの方がペルソナ作成や相性について詳しく、各キャラクターについてページを割いています。こちらも隠しキャラであるレイジの情報、雪の女王編の情報は無し(タイトルに「すべて」ってついてますが全てではないのです……)。
 表紙や扉に、ゲームに登場する悪魔をフィギュア化した写真が使われているのが特徴。



女神異聞録ペルソナ 公式ガイドブック
書籍 [アスキー刊、1996年12月発行、A5判、254ページ、オールカラー]

女神異聞録ペルソナ 公式ガイドブック  公式によるPS版の完全攻略本。表紙と中に載っている製作陣インタビューの写真から「お花畑本」と呼ばれる様子。
 内容は優秀で、セベク編、雪の女王編の全てのデータだけでなく、難解なペルソナ作成にわかりやすく指針を与えてくれます。悪魔交渉のデータ類も完璧で、決定版虎の巻と言えるでしょう。もちろん隠しキャラの玲司の情報も掲載。PS版を完全攻略するには必携の一冊です。
 攻略以外に、報告書という形でセベク編、雪の女王編の出来事と、事件後の各キャラクターの証言が記述される『ある機密文書より』が収録。28ページほどあり、凝った内容です。巻末には開発者インタビューで作品やストーリー、キャラクターのコンセプトなどが語られています。
 この本、部屋のどこかにしまってしまったので今手元にないよ! 不便極まりないです。 あまりに不便なのでもう一冊購入してしまいました。私の部屋にはこれが2冊存在する……。ずぼら。

[追記 2019.3.9] ボス敵に関するデータは必要最低限しか掲載されていません。



ペルソナ倶楽部
書籍 [アスペクト刊、1997年3月31日発行、A5判、258ページ、オールカラー]

 公式ファンクラブへの投稿イラストなどをまとめたファンブック。当時友達に見せてもらった記憶があります。
 最近購入して見てみたところ、投稿イラストの絵柄に時代を感じる……!! 90年代!! 愛されていたゲームなのだなあとよくわかる、熱量がとにかくすごいです。キャラクターだけでなく、悪魔の投稿イラストもいっぱい。各キャラクターの本人筆(本人! 以降も続く『ペルソナ倶楽部』の伝統)によるプロフィール情報や、製作陣によるキャラクターの裏設定話なども載っているので必見です。また、これまでの女神転生シリーズやデビルサマナーの投稿イラスト、これまでの公式コミカライズ作品の特集ページなどもあります。
 笑ったのはブラウンのプロフィール。小学生か! それから掲載されている公式ギャグ漫画が下ネタオンパレード。公式がこれならこちらも自由度高めでいられるな……って思いました。とにかく濃いので、ファンたちの「当時の空気感」を味わうには最適の一冊です。
 あと表紙及びカラー扉(表紙絵の着色版)が金子さんのイラストなのも貴重です。たぶんこれ用の描き下ろしだったんでしょう。今のところこのイラストは他の書籍への再収録は無い……?
 ちなみに巻頭に付録でシール(プレステのメモリーカード用など)がついています。古本だと使用済みということもあるので、完品で欲しい方はご注意。(あと、私が持っているものは公式ファンクラブの会報が1枚はさまっているんですが、これも仕様だったのかな?)

[追記 2019.3.9] 攻略データは悪魔交渉の詳細、各悪魔に効果的な交渉コマンド一覧、悪魔合体の詳細(特に、合体表にパラメータ上昇・下降、事故率を付記した表が掲載)、雪の女王編のマップ付き詳細攻略、悪魔一覧(ドロップするお金の額が書かれている)。悪魔一覧にはボス敵についても少し掲載されているが、不完全。
 各悪魔に効果的な交渉コマンドは『公式ガイドブック』にも表記があるのですが、悪魔一種につき交渉コマンドが一種しか書かれていないため、例えば「マキ・怯える」だった場合、雪の女王編ではマキがいないので情報として不完全です(『公式ガイドブック』は悪魔の感情と交渉コマンドの理論について解説されているので自分で調べることは可能ですが、手っ取り早さでは……という意味で)。また「興味」が上がるコマンドしか書かれていません。『倶楽部』の一覧は基本的に二種書かれているので、だいぶ補完できます(全てではないですが)。また「恐怖」「喜び」も載っています。
ペルソナ倶楽部

↑タイトル字は黒の箔押し。帯で隠れてるところに玲司がいます。ここでも隠しキャラ扱いか!




女神異聞録ペルソナ 〜シャドウメイズ〜
書籍 [アスペクト刊、1997年5月14日発行、是方那穂子 著、新書判、276ページ]

女神異聞録ペルソナ 〜シャドウメイズ〜  麻希を主軸に展開する公式ノベライズ。セベク編を描いた内容です。
 麻希、アキ、まい等の視点が交互に描かれることで物語が進みます。一度ゲームをやってから読むと、なるほど〜! と思います。ゲームでのストーリーを短縮するような構成になっており、ゲームそのままの筋道ではありませんが、麻希周辺の事象についてはゲームよりも詳しく掘り下げてあります。
 セベク編なので、パーティ構成は主人公、麻希、マーク、南条、玲司です。登場人物は他に神取、麻希の母、ニコライ博士、千里、内藤、エリー、綾瀬など。
 主人公はなんとハーフという設定で(名前がすごい)、性格はやんちゃ。気になったのは、口調がマークとかぶっていること。そのため、セリフだけになると主人公なのかマークなのかわからない。なぜこのキャラ設定にしたのだろう(そういえば、アラヤの岩戸の地下にいるあいつの口調だ……)。
 感想としては、「理想の麻希」が成長していく姿が軸となっていて、ゲームでは味わえなかった面白さがありました。麻希視点のゲームもやってみたかったなあと。ポジティブだけの世界で生きてきたため、作中で言われる通りまるで幼稚園児みたいに単純なことしか言わないし考えない「理想の麻希」が、異変が起こり、みんなと行動していくうちに、他者だけならず、自分の中に芽生える不安や悲しみ、怒りなどのネガティブな感情に触れて成長していきます。
 他のノベライズで感じたことなのですが、文章でのペルソナの戦闘描写は難しいものがあるようです。が、この作品では視点を変えることで違和感なく処理していて感心しました。
 表紙、カラー扉、中扉ともに当時描き下ろしだったのかな? 全て金子一馬さんによるイラストです。いずれも他の書籍にほとんど収録されていないんじゃないでしょうか(当時の販促ポスター類には使われていたはず。中扉の絵は線画ですが、着色したバージョンが存在します)。挿絵は無し。



女神異聞録ペルソナ 神取の野望
書籍 [ビクターブックス/ビクターエンタテイメント刊、1997年5月26日発行、南原順 著、新書判、212ページ]

女神異聞録ペルソナ 神取の野望  神取を主軸に展開する公式ノベライズ。セベク編の前日譚にあたる内容です。
 主に登場するのは神取、麻希、玲司、南条君。この4人はそれぞれの視点によるシーンが描かれています。他にマーク、山岡、あき、まい、麻希の母、ニコライ博士、武多、千里、内藤君などが登場します。オリジナルキャラクターとして神取の女性秘書や上司、部下など多数が登場します。
 内容は、神取が佐伯グループ内での覇権争いの中、デヴァ・システム開発で異世界や悪魔の存在に気付き、ニャルラトホテプに魅入られるまでの出来事が描かれています。御影町で起こる連続猟奇殺人事件から始まる、暗く緊迫したストーリーです。クトゥルフ神話なくだりもあります。
 感想は、覇権争いの謀略のやりとりなど大人の世界が描かれていて、神取というエリートの具体的な肉付けを味わうことができます。武多さんの有能っぷりも意外。ただ、ラストに関しては神取の人物解釈で好き嫌いが分かれるかも。優秀で野心家だが常識の範疇の倫理観の持ち主が旧支配者に魅入られて常軌を逸していくのか、もとから超越的な思想を持ち、同調していくのか。
 今作に描かれている麻希ちゃんはひどく残酷なことを考えているのですが、これはかなり追い詰められた状態のため。前日譚なので小説内では回収が無いけど、この続きはゲームで! って感じです。
 玲司は頭悪くて最高。ウェイターとしてパーティ会場に潜り込み、神取を殺そうとしてます。ただ、驚いたことにナイフ所持。お前、拳具以外も装備できたんかい。父親に関する設定も詳細に語られていますよ。お母さんの名前もでてくる!
 南条君の出番は少しですが、南条家がどのぐらいの旧家で規模がいかほどかも書かれています。ちなみに神取家も旧家だそう。
 描き下ろしの挿絵は無しですが、神取、玲司、麻希の公式立ち絵の線画版が載っています。線画は実は貴重?



女神異聞録ペルソナ(漫画版、1〜8巻)
書籍 [エニックス刊、1巻・1997年6月27日発行〜8巻・2000年9月27日発行、A5判]

 ようやっと読みました。が、まさかの新装版が販売終了で、仕方なく古本で購入、申し訳ない。電子書籍もまだ出ていないんです(2017年現在)。電子版が出たら買い直させていただくということで、アマゾンの電子書籍化リクエストのボタンを押しておきました。

 全体的な感想は、良い形での漫画化だなと思いました。ゲームの中で唯一描かれない主人公という人物の心理が、異聞録の物語に”ある現象”として絡む形で進行します。ゲームをプレイした読者にとってただ一人知らないのがこの主人公であり、その謎解きを軸にして進むため、新鮮にわくわくして読むことができました。ゲームをただなぞっただけだと新鮮味には欠けますから。物語全体は小説版と同様、ゲームを短縮した形で進行。しかし漫画版の見所は、ゲームとは違うパーティー組み合わせでの行動! そうですそれが見たいんですよ! ゲーム以外ならではの自由度です。嬉しい。そして雪の女王編がセベク編と統合されています。これは事前に周りの人から聞いていて、どういう風なのか楽しみにしていたんですが、雪の女王編要素がほんのちょっとだったので少々がっかり。でも、実際こんなものかな。ただ高校生の神取くんの関わり方がゲームとは異なっており、これは良かった!  終盤は、あとがきによると「巻き」が入ったらしくちょっと急ぎ足になるのですが、最終巻はそれを感じさせないペースで無事完結。終わり方は納得のいくものです(たまに、打ち切り感丸出しのやつもあるからね……)。全体的にものすごくたっぷり尺を使っている印象があり、月刊連載と知ってびっくり。週刊漫画のような密度の印象でした。なので、単行本で一気読みするのに向いています。
 主人公像については、『倶楽部』に書いてあった主人公像に当てはまるなと思いました。『倶楽部』によると、制作スタッフは「クールで無口、美形キャラ、何をやってもそこそこ出来る、かっこいい、男女ともに憧れられる、怒ると怖い(玲司より)、でも存在自体が嫌味でない、でもちょっと近寄りがたい」……ですよ、どうですか。私は正直これを読んだ時「そんな都合の良いキャラやだわ」って思ったんです。いや、今でも思っています。でも実際漫画を読んでいると、確かに主人公は上記の傾向にありますが、とあることで苦悩しており、それが発端となってそのような性格、態度となっていることに破綻がありません。むしろその苦悩のさまに読者は共感したり心配になったりするので、長所だけの「ご都合キャラ」には決してなっていません。漫画版ファンが多いのも納得の主人公です。やっぱり、キャラに必要なのは長所よりもその裏側にある短所だな。

 さて、玲司の感想ですけども。パン食ってた。食堂で、椅子とテーブルにちゃんとついて。この印象が圧倒的に強いw! あと、玲司ならではの暗黒覚醒魔法をよく使っているので、作者の方の愛を感じました! しかし最近まわりの人の話を聞いていると、暗黒覚醒を使ったことがない人の方が多いようで……使わなくても全然問題ない魔法だからね。むしろ戦闘が長引くのだ。漫画の中で何の説明もなく姿を消したりしてたけど(暗黒覚醒魔法「ドロンパ」を使用して透明人間状態になった描写)、みんな意味がわかっただろうかと心配になったりして。そして漫画版のストーリー上、玲司ルートではない感じが強く、出番は少ない印象です。あまり大きくストーリーに絡んでない感じ。そこはまあ玲司ファンとしては少々がっかりポイントでした。でも、ブレス(玲司の初期ペルソナ)のデザインがちょっと判明したのでありがたさ120%!

 何巻かには巻末におまけ漫画が載っていました。それを見ていてびっくりしたのですが、私がこの漫画を入手して読んでいたのは2017年11月4日。巻末漫画に主人公が消費期限が2日経過したおにぎりを食べてしまう話があるのですが、その消費期限が11月2日。なんと、この漫画版は11月4日の物語だった……!? たまたまですがびっくりしました。しかし、異聞録が何月なのかについては諸説あり、私は9月下旬〜10月上旬あたりだと思っています。麻希ちゃんの入院や玲司の転校について「半年」というワードが多いことと(年度始めの4月から数えると半年後は10月)、ゲームの発売日が9月20日であることからです。あと、特に女子があの制服で11月は寒そうってのもある。なので、11月は意外。消費期限の年表記が連載時の1998年であることから、単にその時の年月日という可能性もなくはないですが。でも、その単行本の発行日は10月27日なので、描いた日なら9月〜10月ではないかと思う。
 日付と言えば、異聞録の謎のひとつとして「ゲームの中でどれだけの時間が経過しているのか」問題もあります。ゲームの仕様上でもストーリー上でも、夜の表現がありません。もしそうなら、あれはたった1日の間に起きたこと? キャラたちは1日かからずLv.99になれる? そりゃ2以降を圧倒的に引き離すゴリラっぷり。3以降に至っては一年近くかかってLv.99になるのに、それをたった1日で!w ちなみに、漫画版の中では明確に一晩経過しています(寝るシーンがある。上記日付だとすると、11月3日〜4日の物語)。ので、少なくとも丸一日は経過しているのでしょう。たいして変わらんかw    



女神転生十年史
書籍 [アスペクト刊、1998年1月2日発行、A5判、354ページ、オールカラー]

女神転生十年史  女神転生シリーズ(『デジタルデビル物語女神転生』〜『女神異聞録ペルソナ』まで)の情報を網羅したファン向けの書籍。各作品のあらすじ、主要キャラクターや歴代悪魔の分析、開発者インタビュー、攻略情報など。サブキャラクター図鑑も充実。表紙、カバーは金子一馬氏によるイラスト。

 異聞録関連では、中ボス、ラスボスの画像やデータが掲載されている。実現しなかった没シナリオについての記述がある。ペルソナのデザイン画が数点掲載されているが、内容は『倶楽部』掲載分と同じ。表紙に異聞録のキャラクターが描写されている(ただしピアスと玲司、神取はいない。このイラストは『金子一馬グラフィックス 女神転生黙示録』にも収録)。
 全体的な見所と言えば、『if...』『デビルサマナー』『女神異聞録ペルソナ』を含んだ年表状のものが掲載されているが、この3作が真・女神転生の正史世界に対する「外伝(パラレル世界)」であるという位置付けがまだされていないということ。『if...』が東京壊滅の数ヶ月前とされており、おそらくデビルサマナーや異聞録のあとに東京が壊滅するという解釈(現在は『if...』以降は東京が壊滅しないパラレル世界という位置付けになっている)。

[追記 2019.3.9] 上記年表(P.8〜9)には、正史、外伝(パラレル)の別なく全て正史軸で書かれているが、P.103には「ペルソナはパラレル」という記述がありました。曖昧な時期だったようです。
 この本にしか書かれていない異聞録の情報は多数。例えば、トロ君のペルソナは昔飼っていた亀、など。
 悪魔一覧には、ゲーム内でひらがな表記のスキル名が漢字で書かれています。
 攻略情報にアルカナ別の逆引き合体表があり、パラメータの上昇・下降、事故率も併記されており、便利です。『公式ガイドブック』『倶楽部』の合体表より総合的でわかりやすいと思います。ただしなぜそうなるのかの理論は詳細には載っていないので、それについては『公式ガイドブック』を参照。
 掲載されている中ボス、ラスボスの画像やステータス、スキルデータ類は完全です(おそらくこの本のみ)。



女神異聞録ペルソナデジタルコレクション
CD-ROM&書籍 [アスペクト刊、1998年3月27日発行、B5判、冊子50ページ、オールカラー、CD-ROM1枚(Windows95用)]

女神異聞録ペルソナデジタルコレクション  CD-ROM付き冊子形態のシリーズの異聞録版。ハードカバーで2.5cmほどの厚みがあります。
 CD-ROMにはムービー、スクリーンセーバー、壁紙、ミニゲーム、カレンダーなどのデータが収録。他にサウンドトラック、キャラクターボイス、悪魔&ボスのボイス(悪魔の変な踊りの歌も)の全種がwav形式で収録されています。
 ムービーはオリジナル編集のイメージムービー(使われているキャラクター画像は新規ではありませんが、音楽はCD-ROM用のオリジナルらしい)の他、容量の問題で使用されなかったという雪の女王編のEDムービーが収録されています。キャラクターボイスにはやはり使用されなかった没ボイス(全滅時のボイス?)が収録されています。また、今作オリジナルと思われる『サトミタダシ薬局のテーマ(テクノポップバージョン)』が収録されています。
 ミニゲームなどのコンテンツは16種類ほど収録されており、全体はエルミン学園の文化祭『白貂祭』の展示や出店の体で遊ぶようになっています。ゲームに勝利すると隠しコンテンツを見ることができます。
 冊子部分には製作陣の対談インタビュー、OPやEDムービーの絵コンテ、コスパとタイアップしたコスプレ商品やグッズの紹介、ドラマCDの紹介などです。
 さらに付録でポスター(B4を縦に2枚繋げた変形判、両面フルカラー。既存絵をデザインしたもの)、プレイステーション本体に貼り付けるステッカーがついています。
 注目すべきは冊子の製作陣インタビューで、各キャラクターのモデルや元ネタが語られており、なかなか衝撃的な内容です。音楽担当者へのインタビューもあり、ご存知の方も多いと思いますが悪魔ボイスにはプロ声優ではないスタッフさん達の声が多数使われており、その時の制作状況などが語られています。
 コスパとのタイアップページには当時のコスプレアイドルさんが麻希、綾瀬、エリーに扮したグラビアが載っているのですが、この綾瀬の写真はかなり好きです。サトミタダシ…てことにしたマツキヨの店頭で撮影していて、感じが出ています。
 CD-ROMの方は、他で見たことのない情報がちらほらと載っているので驚きます。
 CD-ROM、冊子共に新規の公式絵はありませんが、編集しているファミ通側のイラストレーターさん(たぶん)のイラストが多数あり、中には玲司が女子制服になってる絵もありますよw それからカバーをとった表紙絵もかわいい! 凝ってる! スクリーンセーバーは私の現在の環境では起動できなかったのですが、いくつかは同じイラストレーターさんのものらしいです。



ペルソナ2 罪
プレイステーション用ゲームソフト [アトラス、1999年6月24日発売、RPG]

 昔数度トライしたのですが、ことごとく挫折しまして。近々またやってみるつもりです。



 金子一馬グラフィックス―女神転生黙示録
 書籍 [アトラス、1999年7月発行、A4判、152ページ]

金子一馬グラフィックス―女神転生黙示録  金子一馬氏の『真・女神転生』〜『魔剣X』までのイラストを集めた画集。インタビュー、各作品へのコメントなども多数。メガテンのファンクラブで使用されたイラストやコラム、小説版の挿絵、COMPや校章などのガジェットのデザイン画、キャラクターや悪魔のラフ画など。

 異聞録関連では、パッケージやポスターに使用された主要ビジュアル、雑誌など書籍用のビジュアルをA4判サイズで見ることができる。また、南条、ゆきのの手書きのキャラ設定文章、ブラウンの没案、パンドラ変身前の設定画、サブキャラクター数名の設定画など。悪魔・ペルソナ系は少なく、『倶楽部』など他書籍と変わりはない。
 全体的には非常〜〜に凝ったデザインの書籍で、定価がたったの2400円だということにびっくり(それだけ大部数だったということか……。しかも重版も出ている)。装丁だけでも一見の価値ありです。



ペルソナ倶楽部ll
書籍 [アトラス、2000年3月30日発行、A5判、322ページ、オールカラー]




ペルソナ2 罰
プレイステーション用ゲームソフト [アトラス、2000年6月29日発売、RPG]

 こちらも近々またやってみるつもりです。



ペルソナ倶楽部lll
書籍 [アトラス、2001年1月3日発行、A5判、290ページ、オールカラー]




ペルソナワールドガイダンス
書籍 [ソフトバンクパブリッシング刊、2001年4月6日発行、B5判、242ページ、オールカラー]

ペルソナワールドガイダンス  異聞録と罪罰までの人物や事象について辞典形式でまとめた本。これらは明確につながりのある世界なので、こうしてまとめられた本はかなりわかりやすいです。
 とにかく情報量が多く、読んでいると初めて知ることがどんどん出てきます。マニア向けな一冊。衝撃だったのはアガスティアの木のセーブ方法ですかね……。そういった、ゲーム中に出てこない小ネタ情報が楽しいです。
 ただ、悪魔とペルソナのデータに載っている画像はゲーム画面上の画像で(しかも小さい)、設定画が代表的ないくつかしか載っていないのが残念。それが全て載っていたら間違いなく最強の一冊でした。……とは言え、それを差し引いても二次創作する人は資料に持っておいたほうがいいと言える本です。とにかく情報量が圧巻。



ペルソナ・アナザービジョン 明日出会う自分へ
書籍 [スタジオDNA刊、2001年4月15日発行、甲斐遥 著、新書判、230ページ]

ペルソナ・アナザービジョン 明日出会う自分へ  麻希、ブラウン、玲司を中心にした『ペルソナ2罪・罰』の前日譚のノベライズ。
 高校卒業後、それぞれがペルソナの力を使ったり使わなかったりして、直面した事件や困難を乗り越えて行くオリジナルのストーリーです。各キャラクターの独立したエピソードになっています。ペルソナ使いとして単独で活躍しているのがカッコイイし(全員戦闘シーン有り)、知られざるみんなの活躍や成長を知ることができて、とにかく嬉しくなります。他のメンバーの分も読めたらいいのにな〜!
 また、オリジナルストーリーながらもゲーム内での設定を外れていません。ちゃんとペルソナシリーズに詳しい方が書かれている感じ。その辺にこだわる方にも納得できる内容だと思います。

 麻希ちゃんの話は、カウンセラーを目指すまでの出来事が描かれています。[ あらすじ:美大に入学した麻希は順調な大学生活を送っていた。カウンセラーの柊に院内の壁画を頼まれた先で、言葉を発せなくなってしまった「亜紀」という少女に出会い、彼女に過去の自分を重ね合わせるのだが……。] まだ弱さも迷いもあるんだけど、麻希ちゃん自身の成長とその確固とした礎を心強く感じました。異聞録の麻希ちゃんを知っていると泣ける。ゆきのさんとエリー、ベルベットルームの面々、克哉も少し登場します。
 ブラウンの話は、テレビ局内で起きる事件が描かれています。[ あらすじ:新人お笑い芸人の河辺は、同じ新人タレントのブラウンにただのライバル心以上の奇妙な嫌悪感を抱いていた。共演することになったTV番組で、ブラウンばかりが事故に遭遇することに気付いた河辺は……。] ブラウン、こんな風に芸能人やってるのかー、と嬉しい&感心(?)! いつものでひゃひゃ節も炸裂、ブラウンかっこいいですよ。ちょっとサスペンス風のお話になっています。黒須純子が登場しています。こちらもゆきのさんとエリーが少々登場。
 玲司の話は、結婚を決める前後の出来事が描かれています。[ あらすじ:恋人に妊娠を告げられた玲司は、自分の不幸な生い立ちのために将来を決断しかねていた。足の不自由な少年とその父親とに知り合ったことから、徐々に"父親のいる家庭"のビジョンを描けるようになっていくのだが……。] 社会人なら身につまされる生々しい内容(胃が痛くなる)、さすが異聞録メンバーの現実担当と言えましょう。セールスマンとして働いている姿が描かれており、不器用っぷりにハラハラするやら微笑ましいやら。冴子先生が登場しています。

 難だった点と言えば、戦闘で何をしているのかちょっとわかりづらい……かな。文章でペルソナ戦闘の描写をするのは大変だなあと思いました。
 よくよく考えれば罪罰と言えば南条君とエリーですから、そちら主人公でノベライズがあっても良さそうなものなのですが、あえてメインではなかった3人にスポットを当てたのでしょうか。嬉しいです。
 それから絵が綺麗。イラストレーターは岩崎美奈子さん(ファルコムでキャラデザしてた方だそうな)。挿絵は章ごとに3枚ずつ、カラー扉絵もついてます!
 



真・女神転生 正典
書籍 [エンターブレイン刊、2003年4月4日発行、A5判、226ページ、オールカラー]

 真・女神転生のデータに重きを置いた書籍。ストーリー構成面、システム面からの各作品の比較など、かなりマニアックな内容。各作品をやり込んで算出されたデータなど、攻略本よりもディープな+α資料となっている。『真・女神転生』〜『ペルソナ2 罰』までを取り扱っている(デビルサマナー系も含む)。

 異聞録関連では悪魔との交渉で各キャラクターが引き出す悪魔の感情のパーセンテージデータ、交渉によるレアアイテムの入手確率検証、LV.99+初期ペルソナ装備状態での各キャラクターのステータス、など。普通ではそうそうできないやりこみ内容となっており、すごいです。
 全体的には、イラストなどの資料ではなくとにかくデータ! 作品ごとの分析ではなく、全体を「メガテン」として包括して分析した内容なので、ファンにはたまらないはず。作品世界の年表的なものもあり、ここでは現在の通説の『if...』以降、デビルサマナー系、ペルソナ系は東京が壊滅しないパラレル世界(外伝)という位置付けになっている(言い切ってはいないけど)。また、各作品が発表された当時のゲーム業界の動向、変化、ファンの反応などにも触れられており、そうした時代的な資料としても役立つ。



ペルソナ倶楽部 P3
書籍 [アトラス、2006年12月15日発行、B5判、210ページ、オールカラー]

 一応持ってるんですが、P3を終えるまではちゃんと読まないつもりで手元に置いてます。



ペルソナ3 フェス
プレイステーション2用ゲームソフト [アトラス、2007年4月19日発売、RPG]

 現在プレイ中。



ペルソナ4
プレイステーション2用ゲームソフト [アトラス、2008年7月10日発売、RPG]

 プレイ済み。2010年頃? にやったきりなので感想を書くのは難しいのですが、ものすごく面白かったのは確かです。みんな良い子でな〜〜。そうそう、ちょっとしたジェネレーションギャップと言うかショックを受けたのは印象に残っています。私は異聞録世代ですが、異聞録ってはっきり言ってクソガキしかいないんですよ。それが徐々にわかり合っていくのが面白かった。ところがP4は最初っからみんな良い子! これは現実生活でも感じていたことでした。最近の若い子は良い子だなーと思うことが多くて。ここで言う「良い子」とは、教育レベルが上がってることを感じさせるという意味で、他人の気持ちを慮ることのできる人間としての賢さ、確実に人類は高みに向かってステップアップしているのだな…! みたいなことです(?)。P4の子たちはまさにそれで、つまりP4キャラクターと同世代の子たちにマッチしているということでしょう。ペルソナシリーズの「現代性」を保つ凄さを実感しました。常に「現代」に寄り添っているというのは、製作する側のリサーチの正確さなんでしょうか。感服。



Persona スノークイーン
書籍 [エンターブレイン刊、2009年7月10日発行、藤原健市 著、文庫判、258ページ]

Persona スノークイーン  PSP版発売後に出版された初の雪の女王編のノベライズ。
 主人公(ピアスの少年)が存在しない設定で、登場するのは南条君、ゆきのさん、エリー、綾瀬、マーク、ブラウン、山岡、冴子先生、夏実先生、トロ、黒瓜君、麻希の母など。パーティ編成は南条君、ゆきの、エリー、綾瀬の4人。
 特筆すべきは南条君が主役だということ。ほぼ全て南条君視点で描かれています。店で武器を調達するくだりなどがじっくり描かれていて面白かったです。これは他のノベライズには無いシーンで、こういう風にみんなで行動してるんだな〜とわくわくします。著者は銃器にこだわりがあるらしく、描写が細いです。また、戦闘描写はノベライズの中で一番わかりやすく、カッコイイです。
 個人的には、雪の女王編ならばゆきのさんが主役の方がしっくりくるよなあとか、ブラウンがパーティに入ると思ってたので入らなくて意外とか。主役ではなくてもゆきのさんと冴子先生の繋がりをいろいろ描くだろうなーと思ったらそれもほとんど無く、意外です。存在感があるのは綾瀬。エリーがちょっと目立たなくて残念。内面描写はあっさり目かな〜。もっと掘り下げて欲しかった気はします。全体を通して南条君と山岡の絆が描かれているので、その辺を読みたい方には嬉しい一作です。
 南条君は責任感があって視野も広く、リーダーに向いていなくはないんですが、直情的なところがあったり、話し方がナチュラルに不遜という特徴があるため、全員をまとめる器にはまだまだ足りないものがあります。ほかの3人もそれぞれに長所と短所があり、お互いを補いあって並列で進んで行く頼もしさが今作の醍醐味でしょう。これが仲間ってやつだな! と。で、そこで浮き彫りになるのが本来いるはずの主人公の存在だなあと感じました。個性的で簡単には言うことを聞かないであろうメンバーをまとめてしまう存在感……何者なんだ、主人公。
 カラーページもありますが、表紙と同様にPSP版のリライトの全身図を使用しています。挿絵は無し。



金子一馬グラフィックス万魔殿 キャラクター編
書籍 [エンターブレイン刊、2002年10月8日発行、ファミ通書籍編集部/金子一馬 著、変形判、218ページ]

金子一馬グラフィックス万魔殿 キャラクター編  金子一馬グラフィックスの3冊目の画集。デビルサマナー、ソウルハッカーズ、異聞録、罪罰、魔剣X、魔剣爻に登場するキャラクターを中心に収録した一冊。
 異聞録、罪罰の主要人物キャラクターの立ち絵が掲載されています。ただし罪罰の表情差分や衣装違いなど細かいものは無し、一人につき1枚がほとんど。脇役は掲載無し。ペルソナは異聞録と罪罰が混在しており、同名のペルソナは片方しか掲載されていません。また全種掲載されているわけでもありません。そのように「画集」として選抜された内容なので、データとしては中途半端です。ただ、各キャラクターに記載された説明キャプションに時々知らないことが書いてあることも。また、画集なので印刷はかなり精彩です。
 異聞録的には神取さんのキャプションが見所でしょうか。



ペルソナ5
プレイステーション3、4用ゲームソフト [アトラス、2016年9月15日発売、RPG]

 クリア当時にメモしてたものをまとめてみました。
 全体感想、クール、且つ熱かった! 今ならでは(この先も?)のテーマを扱ったストーリーはさすが現代ものRPGの旗手・ペルソナシリーズ健在なりと感じました。クオリティは内容、グラフィックともに最高、8年ぶりの新作として十分満足できるものでした。
 冒頭、学校中がヒソヒソと影で自分のことを噂しているのはうっひいい~~って感じですごい状況でのスタートだと思いました(そしてすぐ慣れちゃうもんだな……)。恐ろしく暗い青春が始まった。明るかったP4との対比が映えます。キャラクターたちは、発売前情報からイメージしていたものと良い意味で違っていて、意外性があり、楽しかった(また、そこがテーマでもあった)。ストーリー全体はテンポ良く、スリリングでとにかくハラハラしました。事前の宣伝を利用した、ある意外な展開も待っており、ゲームでなければ味わえない醍醐味がいろいろとあって素晴らしかった。複雑でトリッキーなストーリー構成ですが、それがわかりやすく体験できるのは圧巻でした。要所要所での選択肢は本当にドキドキ。プレイした人たちが「記憶を消してもう一回初めからやりたい」と言うのも納得!
 ちなみに私は発売日当日は帰省中でして、出先で購入しましたがプレイし始めたのは20日から。9月20日と言えば異聞録の発売日! やったー20周年!(?)

 先に、難だった点。少ないです。
 ひとつ目は、実質12月までしかなく、心の準備をしないまま急に話が終わるのでちょっとがっかりしてしまったこと。これは真エンドとか別の展開があるのかもしれないけど…。P4のように冬の行事を全うできないのは寂しかった(クリスマスはあるけど気持ちが安らがないし、大晦日にお正月も無い~!)。「一年間の保護観察期間」って言われていたので3月までを期待しちゃったんですよ……。
 ふたつ目は細かいとこなんですが、三島君とのやりとりにちょっと不服。最初のうちは彼に怪盗団だということを明かさない選択肢があるのに、途中から特に何のきっかけもなくそういう選択肢が無くなっていたのです。しらばっくれたいのに! そこまでの選択肢次第では何かきっかけがあるのかな?
 三つ目は、非常に個人的な感想ですが、ステータス画面や総攻撃の時に出るみんなの顔イラスト………似てなくない? なんか二次創作絵を見てる気分になって……。P4の時はそうは思わなかったんですが、今回はなんだかメイン絵とかけ離れている印象でした。
 四つ目に挙げていいのかわかりませんが、真エンドの有無。今のところ謎なので保留!

 良かった点は挙げるときりがないぐらいで、生活パート、ダンジョンや戦闘、大きなストーリーイベントや全体構成、いずれも楽しかった! ストレスを感じる局面はほぼありませんでした。メメントスのような自動生成ダンジョンは苦手なのですが、1フロアがあまり広くないのでさくさく進められ、これはありがたかったです(P5以後にP3をやったので、なるほどこの部分はP3から継承してるんですね)。
 キャラクターはみんな好きになれました。「居場所」の無い人々が、居場所の無い主人公と出会い、主人公を鏡のようにして自己の姿に気づき、共鳴して自分を変える一歩を踏み出してゆく、という。そしてそれぞれの立場や境遇、人格の違いを越えて重なり合ってゆくのはさすがだなペルソナ…! と思いました。その様がとても清々しかったです。

 今回改めて感じたのは、ペルソナのような現代物のゲームでは、世界観はもちろんキャラクターにも現実との地続き感がないと入り込めないよなー、という当たり前の話です。
 P5では竜司君、それに三島君もかな。彼らの劇中の出来事への反応は年齢相応のリアルさがあり、必ずしも状況的に「最善」のものではありませんでした。プレイヤーはそこに同族嫌悪や反面教師を抱くように設定されているなと感じました。彼らを通して現実や現実の自分と重ね合わせざるを得ない。つまり私たちとゲームの世界を繋いでいるのは彼らだということです。都合の悪い展開で現実を感じるというのは皮肉だけれど、実際そうですよね……。現役思春期の人は、この感じが受け入れられなくて苦しむようです。自分の嫌なところを見せつけられているので、そうなるでしょう。BBAはもう俯瞰で見ているので、「青春やな」とほろ苦さを噛み締めていますというか、文字通り老婆心が働いてしまって無闇にハラハラします。
 P5では主人公含め他の主要キャラクターは、外見や立場の設定もろもろが「現実にいない」or「いそうでいない」フィクション感担当なので、それ以外に現実感のあるキャラクターが必要になります。発売前の情報で、竜司君は見た目も含めてもっとキャラ付けが濃くていいのでは? と感じていたのですが、ゲームをやっていると、竜司君の「現実にいそう感」が私のいる世界とゲーム世界を繋いでいてくれるのだなと思うようになりました。あれ以上濃いキャラ付けがされると非現実的なキャラとなり、私とP5世界とは接点を失ってしまうかもしれません。
 実体験として、私は初めて『ペルソナ2 罪』をプレイした時、この「現実にいそう感」を全く感じられなくて苦しみました。キャラクターや街が非現実的すぎて、自分との接点が見つからなかったのです。これは完全にフィクションなのだ、と割り切れるまでにかなりの時間を要しました(罪罰の名誉のために補足しておきますが、そもそも罪罰は主人公=自分ではないので当然なのです。私は異聞録からの主人公=自分の感覚でやってしまったので失敗したのです)。フィクションならフィクションで楽しめるのですが、現代物ゲームとはなんぞやと考えた時、現実との地続き感が面白みだよなーと思うのもまた確かです。現実と関係なければ、それは最早ファンタジーもの。そのさじ加減は一様ではないので簡単に答えは出せませんが、ペルソナシリーズが3以降に現実感(特に、学校生活のシミュレーション)をキモにする方向に舵を切ったのは上手かったと思います。
 というわけで竜司君や三島君は目立たないようでいて、実はとても大事な役割なのではないか……という話でした。

 しつこいようですが(?)私は主人公の名前を「城戸鷹司」としています。まだやってない人、主人公を玲司の息子だと思うと楽しさ5万倍なので是非やってね!!!!! 楽しいって言うか心配になるよ!!!



電撃PlayStation 2019年1月号 増刊 電撃PlayStation Classic
書籍 [KADOKAWA刊、2018年12月3日発行、変形判、84ページ]

 プレイステーションクラシック発売時に発行されたムック本。
 冊子本体は収録された各ゲームのあらましを短く紹介する記事など。別冊付録に各ゲームの当時の攻略記事を再掲載しています。
 別冊の当時の攻略記事は異聞録だけで12ページ。ルート解説に全ペルソナデータなど、短いながらも必要な情報は網羅されており、なかなかのものです。しかし、ダンジョンのマップだけが無し。マップ無しではとてつもない時間がかかるゲームなので、この本のみでの攻略は厳しいでしょう。



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