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 あなたはブラウンに電話をかけることにした。
 公衆電話からブラウン宅へかけてみると、トゥルルル……という数回の呼び出し音ののち、電話が繋がった。
「はいー。上杉ですけど」
 その声はブラウンだ。なんだか寝起きのようなだるそうな言い方である。
「おー! なんだ 、あけおめー! どーしたんだよ、元日からわざわざ」
 ブラウンはあなただとわかると、声をパッと明るくした。初詣に行かないかと誘ってみる。
「えっ今から? 今日? おれさまと? ……あー、OKOK! よし、じゃあこれからそっち行くからちょっと時間潰しててくれる?」
 一瞬妙な間があったが、どうやら来れるようだ。地下鉄の付近で待ち合わせることにした。

 しばし時間を潰して地下鉄の入り口で待っていると、ブラウンが現れた。濃い赤紫色のショートジャケットにショッキングピンクのマフラー、蛇革模様の細身のパンツにごつめのブーツ、頭にはいつものゴーグル、その他装飾品もろもろ。さすが新年から派手である。
「あけおめー! 待ったあ? ねえ待ったあ? でひゃひゃ」
 わざとうざいキャラですり寄って来るところを見ると、ハイテンションというか、ご機嫌なようだ。まあだいたいいつもこうだけど。

 あなたはブラウンと雑談しながらアラヤ神社へと向かった。
 アラヤ神社はいつもの閑散とした様子はどこへやら、参道には屋台がいくつも立って、大変な賑わいだ。
「ひゃー人多いな! おれさま、ここの初詣見るの初めてだ。あーたこ焼き、イカ焼き、磯辺焼き!」
 ブラウンは屋台をのぞいてはぺらぺらとよく喋る。
 参拝のための列に並ぶと、横にいるブラウンが何やら嬉しそうに肩をぶつけてきた。
ってば、じらし上手だねえ。今日呼んだってことはさあ、プレゼントくれるんだろ〜! おれさま待てないから今くれ! 今!」
 と、両手を差し出して来た。プレゼント……?? あなたは盛大にはてなマークを立てる。その様子を見て、ブラウンはマジかよという顔をした。
「えっ? ちょっと……え……マジか……」
 なんのことかと聞いてみると、全く知らなかったが、今日、すなわち一月一日がブラウンの誕生日らしいのである。
「な、なんだよ〜! わざわざ今日呼ばれたってことは、なんかくれるんだと思ったのにぃ……」
 ブラウンは露骨にがっかりモードで肩を落とす。
「くそー、お前には正月と誕生日祝いを一緒くたにされる悲しみがわからねえんだよ……! 冬休みだから友達にも祝われにくいしさー!」
 なんだかあわれである。知らなかったのだから仕方ないが、何か祝ってやろうか?
 
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