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あなたは南条君に電話をかけてみることにした。 公衆電話から南条君宅へかけてみると、トゥルルル……という数回の呼び出し音ののち、電話が繋がった。 「はい、南条でございます」 それは明らかに家庭っぽくない、受付の女性の声だった。あなたはそれを聞いた瞬間、ハッとした。それはそうだ、南条家は普通の家ではない。電話をかけたところで、南条君がいきなり電話口に出るはずはないのだ。 圭君のクラスメートの と申しますが、圭君はご在宅でしょうか、とあなたはドキドキしながら尋ねた。 「圭様は現在おでかけになっております。ご用件をおうかがいいたします」 いない……。それもそうだ、きっと年始の挨拶とかで大勢に会わなきゃいけないんだろう。大忙しのはずだ。 あなたは結構です、ありがとうございました、と言って電話を切った。 南条君と出かけるなら、事前に約束しておかないといけないだろう。いきなりは無理があったな……とあなたは思う。 さて、仕方ない。次はどこへ行こうか。
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