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 あなたは御影総合病院へやって来た。
 正月なので診療は休みだが、大きな病院なので当然入院の病棟は動いている。閉まっている病院の入り口には門松がしつらえてあり、陽の光をあびてのどかな雰囲気だ。
「あれっ、 君? どうしたの?」
 あなたが立ち止まって病院を眺めていると、診療ではなく入院病棟の出入り口から出て来た人がいる。それは麻希だ。衿にファーのついた淡いピンク色のコートにロングブーツ、髪にはいつもの赤いリボンをつけている。コートの裾の広がったシルエットが女の子らしい。
「あけましておめでとう! びっくりしちゃった、どこか具合でも悪いのかと思って」
 あなたがただ通っただけだと言うと、麻希はホッとした様子で笑った。
 麻希は12月に無事退院し、今は自宅療養中だ。二学期のうちに学校へ出ることは叶わなかったが、三学期には出られそうと聞いている。しかし、なぜ今日はここにいるのだろうか?
「今日はお世話になった先生や看護婦さんたちに、お正月の挨拶に来たの。お母さんから差し入れを預かって、それを届けたところ。病院はお正月だからって休めないから、大変だよね」
 なるほどそういうことだったか。聞けば、用事が済んだのであとは帰るだけらしい。麻希を初詣に誘おうか?

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