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あなたは五円玉を渡した。 「む、五円……知っているぞ、"ご縁"とかけているのだろう。上杉が言いそうなダジャレだ」 あなたは思わず笑ってしまった。賽銭の作法みたいに言われているが、そう言われれば単なるダジャレなのだ。 「日本には言霊という考え方があるからな。ダジャレも信心。……いや、上杉のダジャレを肯定しているわけではないぞ」 南条君も自分でそう言いながらちょっと笑った。 そうこう言っているうちに順番が来たので、一緒に賽銭を投げ、鈴を鳴らして参拝した。フィレモンへの挨拶も忘れずに。 「ほう、これがおみくじ。……結構重いな、中に何が?」 南条君におみくじの筒を渡し、振って中の棒を一本出すのだと教えた。そして棒に書かれた番号の紙をもらう。 「ふむ、偶然に神の意志が宿るというわけか……。やってみよう」 あなたもおみくじの筒をがらがらと振ってみた。
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