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 エリーも来年は着物を着てみるといい、とあなたは言った。
「お着物、着たいですわ! 小さい頃、USAにいた頃は何度か着たんですのよ。お着物は向こうでは珍しくて、皆さん喜んでくれるものですから、私ってば得意になって……。日本に来ると、反対に着なくなるからおかしいですわね」
 エリーはくすくすと笑い、それから懐かしそうな眼差しをして、少し黙った。何か聞いてはいけないことだっただろうかと、あなたはドキッとした。
「いろいろ大変なことが起きましたけれど、この事を通して見えたものもありますわね」
 あなたはエリーには何が? と尋ねた。
「私? 私は……自分のことです。もう少し……、そうですわ、 みたいに生きてもいいんじゃないかって」
 あなたは自分の名前が出たので少し驚いた。どういうことだろう?
「うふふ、そんな風に、思い切ったfasionで街を歩いたり。そういうことです」
 エリーは普段からファッションは素敵だけど、こんな風(紋付袴)とは一体どういうことだろう……あなたは不思議に思う。盛大にはてなマークを出していたからか、その様子を見たエリーは吹き出して、しばし笑った。
「うふふ……sorry、深い意味はないんです。それより、next year……、私がお着物を着たら、また初詣に誘っていただけます?」
 ああ、それならもちろん、とあなたは返した。
 エリーはいつもの絵のような笑顔ではなくて、はにかんだように小さく笑った。
「約束ですわ!」

 あなたはエリーと雑談しながらアラヤ神社へと向かった。
 アラヤ神社はいつもの閑散とした様子はどこへやら、参道には屋台がいくつも立って、大変な賑わいだ。
 屋台をのぞいてから参拝の列に並び、ふたり一緒に賽銭を投げ入れてお参りをした。フィレモンへの挨拶も忘れずに。
 社務所もお守りやおみくじを引く人々で賑わっている。
、引いてみましょ! お先にどうぞ」
 エリーにおみくじ筒を渡された。

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