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なぜ今年は日本に? と、あなたはふと聞いてみた。 「それは……、いろいろ大変なことがありましたでしょ? 両親も心配しているみたいで……。たまにはdomesticに過ごしてみようか、ということになったんですの」 あの事件をきっかけに、当たり前の日常が普通の幸福とは思えなくなってしまったことを、この街の住人は痛感しているだろう。ある日突然何が起きるかはわからない。ささやかな日常を謳歌しなくては、この先きっと後悔するだろう。エリーの家族にも、そうした変化がもたらされたようだ。 「たまにはこういうお正月も良いと思いますわ。それに、 にもこうして会えましたし」 エリーはいつもの絵のような笑顔ではなくて、はにかんだように小さく笑った。 あなたはエリーと雑談しながらアラヤ神社へと向かった。 アラヤ神社はいつもの閑散とした様子はどこへやら、参道には屋台がいくつも立って、大変な賑わいだ。 屋台をのぞいてから参拝の列に並び、ふたり一緒に賽銭を投げ入れてお参りをした。フィレモンへの挨拶も忘れずに。 社務所もお守りやおみくじを引く人々で賑わっている。 「 、引いてみましょ! お先にどうぞ」 エリーにおみくじ筒を渡された。
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