011
 あなたはこれから初詣へ行かないかとゆきのを誘った。
「えっ、アタシ? 今から?」
 ゆきのは腕時計を見た。
「んー、休憩時間まではまだ結構あるんだよね……」
 そうか、それなら時間を潰してまた来るか……とあなたが言おうとすると、ゆきのの背後に店長らしい中年の男性が現れた。
「お友達? すごいねえー、君、紋付袴で気合入ってるね」
 初詣に行くなら正装でと思って、とあなたが返すと、ゆきのが吹き出した。
「あはは、アタシ、店長に言われるまで気づかなかった!  らしいって言うか、当たり前の顔で店に入って来るから」
 ゆきのはヒーヒー言って笑い出した。そんなにナチュラルだっただろうか。
 店が混雑するのはもう少しあとだそうで、店長は休憩時間を繰り上げて神社へ行って来てもいいよと言ってくれた。じゃあお言葉に甘えて行ってくるか、ということになった。
「お待たせ!」
 店の裏で待っていると、ゆきのがバックヤードから出て来た。細身のジーパンとスニーカー、上は青地に龍の刺繍のあるスカジャン、白のマフラー。こういうさらっとした着こなしが、さすが様になる。
「じゃ、行こっか。ほんとすぐそこだけどね!」

 あなたはゆきのと雑談しながらすぐ近くのアラヤ神社へと向かった。
 アラヤ神社はいつもの閑散とした様子はどこへやら、参道には屋台がいくつも立って、大変な賑わいだ。
 屋台をのぞいてから参拝の列に並び、ふたり一緒に賽銭を投げ入れてお参りをした。フィレモンへの挨拶も忘れずに。
 社務所もお守りやおみくじを引く人々で賑わっている。
「よし、新年一発目の運試しだ。 も!」
 ゆきのにおみくじの筒を渡された。

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